ここ半年くらいの行動ターゲティング/行動ログ系の炎上まとめと今後の予想

行動ターゲティング、行動捕捉のサービスやその周りで起きた炎上、出来事をまとめておきたいと思います。一番最後に、まとめと今後の予想を書いてます。

カレログ 2011年8月

「彼氏のケータイにこっそり入れて居場所を追跡する」と言うことを目的としてサービス提供を開始。ただ「本人の同意を取ってね」と言ってはいるものの、こっそり入れさせることを目的としている点が特に問題となり、特に男性ユーザから「男にプライバシーは無いと言うのか」など非難の声が集中。GPSを飛ばして行動ログをそのまま見れる管理画面があったりとか、自分のケータイに入ってたらと思うと確かに恐ろしいサービス。。!

その後12月からは、「パートナーとの情報共有アプリ」として復活、現状もサービス提供中。

applog 2011年10月

ミログ社のapplogと言うツールが無断で個人情報を収集しているということで炎上。ユーザの明示的なオプトインが無く、またユーザによるオプトアウトが出来ない点が大きな問題となった。その後applogのサービスは停止、以降、ミログ社はしばらく目立った動きが無い。炎上のきっかけはtwitter高木浩光氏のブログのように見える。

googleのプライバシーポリシー変更 2012年1月

別に炎上はしてないように見えるが、googleがプライバシーポリシーの変更を行った。これによりgoogleによる行動ターゲティングの情報収集及び、活用の幅が広がることになる。オプトインは出来ないが、そもそもgoogleが情報を集めていることが既知だからか(?)日本では大きな炎上と言えるものはなかった見える。ちなみに影響やオプトアウトの方法については以下のページにまとめて書かれています。検索履歴とandroidGPSやアプリの履歴とgmailyoutubeが集まったら、もはやユーザのことでgoogleが分からないことは何も無いかも知れない。。

auによるプッシュ通知広告炎上 2012年1月

androidのプッシュ通知による広告をauが実施した。ターゲティングのオプトアウトの方法が分かりにくかったこと、また目立つ「通知」と言う方法で広告を大々的に打ったことによる反発が大きかった。炎上後数日でauはサービスを停止、以降再開される予定はアナウンスされていない。androidユーザの属性や、何なら位置情報も使った広告を出せるようになれば広告価値はかなり大きい気はする。

はてなブックマークマイクロアドのターゲティング炎上 2012/3/13

はてなブックマークが収集していた行動履歴情報をアドネットワーク事業者であるマイクロアドに販売していたことが発覚し、炎上した。こちらもユーザによるオプトアウトが明示されていなかったことが主な原因。炎上後、はてな社長(近藤さん)は即日謝罪記事をアップし、履歴の送信も即日停止された。購入していた側のマイクロアドも延焼を恐れてか、翌日には広告に対してオプトアウト導線を準備した。(炎上してから対応したとすると、この対応速度は驚異的だ…と言うかこの流れは予想していたのか?)

google, twitter等18社を相手取った集団訴訟 2012/3/14

モバイルユーザの行動履歴情報を無断で取得しているとして、アメリカで18社相手に集団訴訟が行われた。結果によってはユーザの履歴情報の扱いが大きく変わる可能性がある。

行動ターゲティングOK/NGのラインはどこにあるんだろう?

炎上する場合、ユーザが許容する場合、そのラインはどの辺りにあるのだろうか?今のところ以下の2つがポイントな気がしています。

  1. 拒否したい場合に出来ることは当たり前。そのオプトアウト方法が明確かどうか
  2. 利用用途に納得感があるかどうか(本来のサービスの意図に沿っているかどうか)

1.オプトアウト方法の明確化

まず1つ目、オプトアウトの方法が存在することは必要。これはカレログやapplogの炎上を見ても明らかだし、フツウのユーザの心情的にもそうだろうと思います(拒否出来ず、呪われるしか無いと言うのはさすがに。。)その上で、オプトアウトの方法が明らかな場合はまだ許容されている気がします。行動ターゲティング系のアドネットワークでも、最近は明確なオプトアウト導線を引くようになってきているようです。

2.行動ログの利用用途の納得感

例えばはてなブックマークの行動履歴の2次利用なんかは「え、そんな風に使うとか聞いてないし!」と言うユーザの反応で、明らかに納得感が無いものだったなと思います。逆にgoogleの場合、ユーザは「便利になるからいい」と思っているのかそもそも気付いていないのか分かりませんが、結果的に受け入れられていると思います。行動ログを集めて使うにも、本来のサービスの意図(ユーザへの説明)に合っているかどうかはとても大事なポイントですね。今後ログを取るのであれば「取りますよ」と最初から言うか、あるいはもっと「履歴取って欲しい!」と思われるようなサービスが必要なのではと思います。

今後の予想

個人情報の分析、コンピュータによる人間のモデリングは古くからの人間の関心事で、その興味が人工知能やロボットを発展させてきました。過去の歴史を紐解くまでもなく「技術的に可能なことは必ず実現する」はずです。個人情報の分析基盤(androidによる情報収集、cookieによる統合分析など含め)が発展して来ている昨今、「集めること」と「分析する」ことはどちらも高度に可能になって来ていて、後は個々人がどう受け入れるかだけの問題じゃないかなと。

今は「行動ターゲティング広告」と言う形でくらいしかユーザを分析したメリットを返せていないのが現状。「いつもよりちょっとあなたが興味のある広告を出しますよ」と言う感じだけだと、それはまさに不気味の谷そのものです。けど、今後はそこを超えた「ユーザが望んで分析されたいサービス」が登場して谷を超えていくんじゃないかと思います。「分析されて、どうなったら嬉しいか」に対する答えになるサービス、そういうのを作りたい。